誰もいない部屋で独り


AMラジオに耳を傾けながら


文庫本を広げてみる




掌サイズの宇宙から


ひらりと落ちる言の葉




長い間の空白を


埋めるだけの文字を


散らかった心の中から


紡ぎたい




僕は何もできないけれど


変わってしまったことと


変わらないままのことを




今 もう一度


詩人になりたい






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私はあの人を好きだけど


あの人が私を好きにならないとしたら


仕方ない


私はあの人に何を求めているのか


あの人のどこにひかれているのか


私にもはっきりとはわからない




私は


目にみえない確かにこれと説明できない


何か神秘的で真面目な力を信じているけど




その力が私たちを認めてくれないかぎり


あの人は私を好きにならないだろう









詩集 散リユク夕ベ (角川文庫)/銀色 夏生




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